ミックスのクオリティを上げるための時短テクニック(ファイル名一括変換)

DTM

本日は、ミックスのクオリティを上げるための時短テクニックをご紹介します。

先日、あるバンドさんからミックス・マスタリングの依頼を頂きました。
ドラムのデータをいただき、さあミックスを始めようと思った時のことです。

ドラムのレコーディングをやったことがある人はわかると思いますが、ドラムというのは非常にたくさんのマイクを立てて録音するんですね。

例えばバスドラムの中と外に一本ずつ、スネアの打面と裏面に一本ずつ、それぞれのタムに一本ずつ、シンバルの上からステレオで、さらに部屋の少し離れたところから部屋鳴りをステレオで…

と言った具合に、多少の増減はあるものの大体15〜20本くらいのマイクで録るんですね。

そうなると当然オーディオファイルも15〜20ファイルになるわけです。

そしてそれぞれのファイルが何を録ったのか分かるように、かつ複数曲をレコーディングする場合は何の曲かもわかるようにするために、大体こんな感じのファイル名になります。

[曲名]_[楽器名].wav

今回も例に漏れず、以下のようなファイル名でした。

[曲名]01_kick_in.wav
[曲名]03_snare_bottom.wav
※01とか03は連番です。今回は18までありました。

これをそのままDawに読み込んでも良いのですが、そうするとミキサー画面の狭い名前エリアでは、ぱっと見何のトラックなのか判別できないんですね。

これをDawに読み込むと…
こうなる。

そこで各ファイル名の[曲名]部分を削除してからDawに読み込めば解決するのですが、1、2ファイルならまだしも18ファイル全てを手動で変えていくのはちょっとめんどくさいですよね。しかも今回は全6曲なので18×6=108ファイル。1ファイルに5秒かかるとして、ファイル名変更だけに9分も費やす計算です。

これは手動でやる作業じゃないな、と思い、ファイル名を一括変換するプログラムを探したところ、ぴったりなものを発見。それがこちらです。

setlocal enabledelayedexpansion
cd /d %~dp0
set keyword=sample
for /f “tokens=*” %%i in (‘dir /b ^| findstr /i “%keyword%”‘) do (
set a=%%i
ren “!a!” “!a:%keyword%=!”
)

呪文のように見えるかもしれませんが、大丈夫です。意味が分からなくても使えます。
意味を知りたい人は「コマンドプロンプト」で調べるといろいろ出てきます。

使い方はいたって簡単。まずは上記プログラムをコピーしてメモ帳に貼り付け、3行目の「set keyword=」の後の部分を削除したい文字列に変更して、ファイル形式を「.bat」にして保存します。

メモ帳に貼り付ける。今回はファイル名の「sample」部分を消したいのでsampleと入力。
名前を付けて保存を選択。
ファイルの種類で「すべてのファイル (*.*)」を選択し、ファイル名を「ファイル名.bat」として保存

そしてこのファイルをファイル名を変更したいファイルのあるフォルダに置いて、ダブルクリックするだけ。

対象ファイルのあるフォルダに置いてダブルクリックすると…
この通り!ダブルクリックしてから1秒もかかりません。

あとはこのファイル右クリックして「編集」で開いて削除したい文字列の部分をほかの曲に変更すれば、全曲分があっという間に完成します。全部で1分ちょいでできたので、7分以上の短縮。短縮率は驚きの87%です。

しかもこれはドラムのファイルのみの場合なので、これを他のパートのファイルでも同様に行った場合、最終的には30分くらい短縮できそうですね。

全体の工程から見ると30分はそこまで長いわけではないような気もしますが、これを今後も続けていくとなると、数年後とかにはかなり大きな開きになっていそうです。

今回はファイル名の操作だったのでバッチファイル(コマンドプロンプト)を使いましたが、おそらくVBAやPythonでも同じことができると思います。

もう少し工夫すれば、全曲分のファイル名を一気に変換するプログラムも組めそうです。今回はそれを組むより1曲ずつやってしまったほうが早いと思いやりませんでしたが、今後のために作っておくのも良いかもしれません。

重要なのは、このファイル名変換プログラムを使えるようになることではなく、いかにして自分の作業量を減らして、効率的に作業ができるかということを常に意識できるか、ということだと思います。単純な作業はプログラムに任せた方が速くて正確です。その時間が削減できればミックス作業に集中でき、必然的にその分クオリティも上がるでしょう。

今のご時世、純粋に「音楽がやりたい!」と思っても、基本的にPC操作とは切っても切れない関係にあります。かくいう僕も文系だったので最初は苦労しましたが、やはり一度できるようになってしまうと非常に便利なことが多いですね。

プログラムに任せられることはプログラムに任せ、我々人間はミックス作業に集中し、ミックスのクオリティを上げていきましょう!

この記事がみなさんの参考になれば幸いです。

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